愛された記憶 [本]


先日、とある場所でワーズワースの詩集と出逢いました。
それは随分と年季の入った文庫本で 
カバーも取り外され、裏表紙には元の持ち主のサインが入っていました。
綺麗な状態とは言い難いので、どうしようかな・・・?と一瞬迷ったのですが
その本には過去の持ち主に愛されていた記憶が留まっているような…
どことなくそんな雰囲気漂っていて 
私を惹きつけるものがあると感じたので買い求めることにしました。

家に帰ってよく見てみると・・・
奥付にも読み終わった日なのか購入した日なのか
ともかく過去の持ち主にとっては意味のある日付とサインが記されていました。
それを見てやはり大切に読み込まれてきた本だったのだと感じ
古本の香りや色焼けした紙面、それから過去に積み重ねて来た時間・・・
そういったものを全て含めて 
この本が醸し出している味わい深い雰囲気に私は心を掴まれていたのだと気づいたのです。

出版年は私が生まれた2年後でした!
初版は更に何十年も遡り、昭和13年となっています。
よくよく考えてみれば、300年以上も前に生きていた人が作った詩を
現代の私達が読んでいることからして不思議なことに思えますが
刷られて何十年も経っている本が捨てられずに現役で役に立ち
新しい持ち主の元に届いているという事が小さな奇跡にも感じられました。
そして、サインを入れた持ち主から私の手元に来るまでに一体どれだけの人の手を介し
どのような出来事を経て今ここに存在しているのだろう?と考えると
更に不思議な気持になるのでした。

訳も随分昔のものなので
普段あまり目にしないような古めかしい表現が所々に使われていますが
そこがまた良いなぁと思うのです。
昔の日本語は美しく、ことばの響きやリズムによって
随分と印象が変わってしまう詩にはぴったりだと思うからです。

その一方で、新しい本ではどのように訳されているのだろう?と気になったりもするので
近々確かめてみたい思っています(^^)

nice!(19)  コメント(14)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 19

コメント 14

ゆうみ

昔の本を読んでると表現方法が若干現在と違って
そこが味がある気がします。
小さい頃 両親が読んでいた 古い仮名使いの本を手に取って
あの時の今と比べて読んでたのを思い出しました。

昔の方が壮大なスケールの表現で 大げさな雰囲気が想像力をつけてました。
by ゆうみ (2012-09-19 00:32) 

Sizuku

ゆうみさん、おはようございます^^
コメントありがとうございます。

ゆうみさんがおっしゃっていることにすごく共感しています。そうなんですよね~?
昔の言葉の表現は、大げさな感じによっていい味が出ていますよね?
詩の場合、それがすごくいい感じに働いていると思いました^^

ゆうみさんのご両親も、旧仮名使いの本をお持ちだったのですね(^^)
私の両親は同い年の友達の両親に比べて随分と年齢が上だったので
父が所有するものの中には、読めない漢字や仮名使いの本もかなりありました。(笑)
時々居た、ちょっと年齢が上のお母さんを持つ友人の家で見たお留守番用のメモには
「~しましょう」が「~しませう」と書かれていて
初めて見た時には、とても刺激的でした。(笑)

そうですね^^
読めなかったり、あまり馴染みのない言葉で書かれたちょっと大げさな感じのする文は
想像する力やそれを読み解こうとする力を養ってくれたと感じます^^

>あの時の今と比べて読んでたのを思い出しました。

ゆうみさんらしさの出ている表現にグッと来てしまいました~(*^^*)
”あの時の今”と現在でも、言葉の使い方に多少変化がありますね?^^

こちらは今朝は雨が降っています。
どうぞよき一日をお過ごし下さいね(^^)ノ

by Sizuku (2012-09-19 07:00) 

ゆうみ

父は、昨年亡くなりましたが大正11年生まれ
母は、今も健在で昭和4年生まれです。

晩夏とはいえ 暑さきびしい折お体ご自愛くださいね。
by ゆうみ (2012-09-19 17:02) 

ken

私はamazonとか古本屋で中古の本を時々買いますが、以前の持ち主が大事にされていたのだなと感じることがあります・・・
by ken (2012-09-19 18:40) 

sigedonn

こんばんは。
昭和の中期ごろまではまだまだ日本語も美しさが残っていたような気がします。
作家たちも、内容にかかわらずそれを心がけていたような・・・。
高校卒業前後あたりによく読んだ「福永武彦」さんや「倉橋由美子」さんもそうだったと思います。(自信ないけど)
by sigedonn (2012-09-19 19:20) 

ともちん

そういえば・・・以前購入日を記してあった本を買った覚えがあります。
その日付も旧仮名と昔の数字でした。
日付自体は昭和でしたが、購入された方はそれ以前の御方であることが
想像できました。買ってから気づいたのですが・・・。

その本がどういった経緯で私の手元に来たのか
思いを馳せると、とてもワクワクしたことも思い出しました(*^^*)
by ともちん (2012-09-19 19:51) 

(。・_・。)2k

そーなんですよね~
昔の表現の方が色っぽいんですよねぇ

by (。・_・。)2k (2012-09-19 20:11) 

kita*

中古本って意見が分かれますよね。
新品じゃないと嫌!気持ち悪いって人も案外いるんですよね~

私はというと断然、中古派(笑)
新品もいいけど、誰かが読んだ本を譲り受けたり、
図書館の本なんかもむしろ、うれしい。

本って出会いだと思うし、読む人のコンディションとか、背景とか、
ものすごく反映してるモノだと思うので、
今の自分と同じような心境で手に取った人もいるのかなーとか
妄想するのがなんだか感慨深いんですよね(*´ェ`*)
by kita* (2012-09-19 21:37) 

Sizuku

ゆうみさん、おはようございます(^^)
昨日は再びお越し下さいまして、ありがとうございました。

大正生まれのお父様が亡くなられてまだあまり時間が経っていないのですね・・・
お気持お察しいたします。
そして、お母様はご健在とお聞きして嬉しく思いました。

私の父は明治生まれなんです。
岡本太郎さんと1つ違いでしたので、もしまだ生きていたら102才なんですよ。
ちょっとビックリしますでしょ?^^
小さな頃、いつも父と歩いていると「おじいちゃんと一緒でいいね」って言われてすごく不満だったのです。(笑)
そして母は大正15年生まれですので、ゆうみさんのご両親とだいたい同年代ですね^^

あたたかなお気持をありがとうございます。
無理せずに日々過ごそうと思います。
ゆうみさんもどうぞ、お身体いたわりながら素敵な毎日をお過ごし下さいね(^^)

by Sizuku (2012-09-20 06:24) 

Sizuku

Kenさん、おはようございます^^
今朝の大阪のお天気はいかがですか?
こちらはまだ太陽が昇り切っておらず曇りがちに見えますが
晴れてきそうな気配も感じられます。

物って不思議ですよね?
そのものの奥にあるものもちゃんと伝わってくるのですから・・・
Kenさんが書いて下さったように感じること、時々ありますよね?^^

もしかして 大切にされて来た物だからこそ次の持ち主の心を惹きつけ
いつまでも大切にされ続けるのかもしれませんね?(*^^*)

by Sizuku (2012-09-20 06:31) 

Sizuku

Sigedonnさん、おはようございます(^^)
コメントありがとうございます。

>日本語の美しさ
sigedonnさんが例に挙げて下さった方々の文章は読んだことがありませんし
ろくに古い時代の作家の書かれた本も読んでおりませんので
私にそのようなことを語る資格はないと思うのですが・・・

少なくとも自分の目で見たことのあるその時代の方々の文章は
独特の美しさを持っていると感じていました。
それはsigedonnさんが感じていらっしゃるように
言葉の使い方に何か信念をお持ちだったからかもしれませんね(^^)

by Sizuku (2012-09-20 06:43) 

Sizuku

ともちんさん、おはようございます(^^)
お身体いかがですか?お越し下さり、コメントまでありがとうございます。

ともちんさんも日付入りの本と出逢ったことがあったのですね?^^
数字まで昔のものだったとは?!(@ @)
比較的新しい時代の本でも、それを持っていた方が少し前の時代の方であるということも確かにありますものね?

ちょっとしたことではありますが、そんな出逢いがあると
その本の積み重ねてきた時間などを色々想像してワクワクしてしまいますよね♪
素敵なお話をシェアして下さって嬉しかったです(*^^*)

今日も無理せず、ゆったりお過ごし下さいね☆
ともちんさんの更なる回復を願っています^^
by Sizuku (2012-09-20 06:53) 

Sizuku

2kさん、おはようございます^^
コメントありがとうございます。

フフフ(^m^)
コメント拝見してクスクスッ♪と笑わせて頂きました(^^)b
”色っぽい”←ここがどーしても外せないポイントなのですね?(笑)
by Sizuku (2012-09-20 06:57) 

Sizuku

Kita*さん、こんにちは(^^)
コメントありがとうございます♪ 
お返事がちょっと遅くなってしまってすみませんでした。

そうですね?^^これはすごく意見が分かれると思います。
私もものによっては気持ち悪く感じてしまう時もありますので
人が以前使っていたものがダメという人の気持も分からなくはないです。
でも、基本的には良いものだと感じられるものならば中古でも喜んで買い求めますよ^^

Kita*さんは中古派なのですね♪
そして、その理由がすごく素敵だな~と思いました(*^^*)

本当に・・・
本は読む人の背景やコンディション反映していますよね?
なので、きっと同じような心境で同じ本を手に取った方もいらっしゃいますよね?^^

小学校の図書室の本って、記名式じゃなかったですか?
Kita*さんの時代は違うかしら?
その時はそんな風には思っていませんでしたが、今考えてみると
その名前を見てお友達になったりすることもあったかもしれないな?と思います。
本の趣味が合うかどうかは、気が合う合わないのバロメーターになると思いませんか?
学校の中などの、名前と顔が一致する環境でしか起こりえないことではありますが・・・

なーんて妄想してしまいました。(笑)
こんな風に本にまつわるアレコレを妄想するのって、楽しいですよね?^^
by Sizuku (2012-09-20 13:55) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

いつもそばにGolden Slumbers ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。