止むにやまれぬ思い [日々の愉しみ]


カメラは出来るだけ持ち歩くようにしているのに
どういう訳かここぞという時に手元に無い。
今日はさすがに出番は無いだろうと油断した時に限って
ハッ!とさせられる瞬間に出くわすのだ。

半月ほど前、車のフロントガラスを通して
マゼンダ色の美しい夕陽と対面した。
それはまるでアフリカの落陽のような大きな丸い光で
目の前が急に拓けたと思ったら
突如その美しい光景が姿を顕したのだった。
それなのに・・・
例の如くカメラは持っていなかった。

つい先日、ちょっと本を返しに行っただけのまさかの場所
図書館でも同じようなことがあった。

入口正面の柵に二羽のカラスが仲良く肩を並べ
楽しげにこちらを見ている様子が目に留まり
一瞬で心を掴まれてしまったのだ。

二羽の親密さを感じさせる様子や表情がとにかく可愛い。
強い雨が降っていたにも関わらず
そんなことはまるで気にしないといった様子で
あふれんばかりの好奇心が
ビーズのような黒い瞳に映し出されていた。
そして、こちらを見つめるまなざしは友好的に見えた。

カラスを見てかっこいいと思ったことはあっても
可愛いと感じたのは初めてのことで
仕方なく7年もののガラパゴスさんを構えてみるも
小さすぎて何が何やらサッパリ分からない。
黒い点2つとまではいかないが
表情を捉えるのはとても無理だった。
長い間カメラ機能を使っていなかった為
ズームの仕方も分からなくなっている始末・・・

そうこうしているうちに背後の扉が開き
どやどやと人が通り過ぎた。
・・・と その途端
一羽がぱっと飛び発ってしまったのだ!

あああぁぁ・・・なんてことだ!
あんなに残しておきたいと願った場面は
ここ最近無かったというのに・・・
この時ほどカメラを持って出なかった事を
悔やんだ事はなかった。

どうにも収まらない気持のまま
何とかあの場面を留めておけないだろうかと考え
苦肉の策として絵で残すことにした。
私は本当は絵を描くことが苦手だ。
それでも描かずにはいられなかった。

結局、あんなにも私の心を惹きつけたもの
~彼等の瞳に映った楽しげな光や身に纏っていた雰囲気~は
全く再現できなかったが
私に紙とえんぴつを持たせたエナジーは
とても心地のよいものだった。
それはきっと絵の中にも宿っているのではないかと感じている。


an impressive scene5.jpg


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