喜びは創りだすもの 3 [幸せの種]

ターシャシリーズ最終回です。

春~秋の間、ターシャは一日中忙しく庭仕事をしていますが
夕方4:30になるとポーチに座って一杯のお茶を味わいながら
ゆっくりと過ごすことが日課になっています。

 この世界にはよく見ると不思議なもの、面白いもの 
 美しいものがいっぱいあるのよ。 
 こま鳥の声、ローズマリーの香り、流れる雲 
 枯草だって目を楽しませてくれる。 
 そんな小さなダイヤモンドの輝きに気づかずにいるのはもったいないでしょ? 
 だからゆっくりお茶を飲んで味わうの。 
 生きているだけでもありがたいと思えるから。

お茶を飲んでいると、チカホミニーがコケコッコ~と何度も鳴いて
ターシャに何か訴えていました。
すると「 聞こえてるわよ、すぐに出してあげるわ」と優しく声をかけ
小屋から彼を連れてくると「あなたにもお茶をあげるわね」と
自分のカップにお茶を足して差し出しました。
すると、驚くことに彼もカップからお茶を飲みました。
美味しそうにお茶を飲む満足そうなお顔は、人と何ら変わりはありません。
ターシャに言わせれば、チカホミニーは "great tea drinker" なのだそうです。
動物にも植物にも優しいまなざしを向けているターシャらしい
微笑ましいシーンでした。


輝きの季節が過ぎ、秋になると今度は冬支度で大忙しになります。
孫たちと庭に生った実を収穫して、りんごジュースを作ったり
みつろうで一年分のろうそくを大量に作ったり、鉢植えを温室に移動したり
次の春のためにチューリップや水仙の球根を何百個も植えたり・・・
どれも手間のかかる作業ですが、時間をかけて丁寧に進めていきます。

球根を植える時は土を手で触り、その冬の雪の量を予想するそうです。
雪の量によって球根を植える深さを決めるためです。
自然の声に耳を傾けながら行う大切な仕事 
長年の経験と知識がものを言います。
春の楽しみのために、この重労働も一人でこなしていました。


四季がはっきりして冬が長いバーモント州は
11月になると初雪が降り、そのうち一面雪に覆われてしまいます。
冬の間、ターシャは家の中の生活を楽しみます。
温室で植物の世話をしたり、秋に作ったろうそくの灯りで
毎日書き溜めてきたスケッチをもとに作品を仕上げたり・・・
外には出られなくなりますが、冬には冬なりの生活を味わっているのでした。

庭を一面に覆う雪を、ターシャは ”花たちの毛布” と呼んでいたそうです。
なぜなら、雪は土が凍るのを防ぎ、土の温度を温かく保ち
眠っている植物を守ってくれるから。
だからどんなに雪が積もっても、雪かきはしなかったとのこと。
季節ごとの自然の在り方を尊重し、その時なりの暮らし方に切り替え
春を楽しみに待っていたのです。


次の春がやってきて少しずつ雪が解けはじめ
小さなお花が庭の隅から顔を出すと
ターシャはとても喜び、雪がまだ残る庭先に足を運び
愛おしそうに眺めていました。
長い冬が終わりを告げ、ようやく春がやってきたのです。


春は必ず廻ってくるの 楽しいことはそれを待つ喜びも大きいのよ。 
 想像力を枯らしてはだめ 
 どんなに厳しい時でも、幸せは心の持ち方にあるのだから。
 
人生は短いの 好きなことをしなきゃ。 
 私は庭仕事が好き だからやるの。
 
美しい庭は歓びを与えてくれるわ 満天の星空と同じよ。 
 草原に咲き乱れる白いデイジーを想像してみて 
 無数のデイジーが光を浴びて白く輝くの まさに星のようよ。


ターシャの言葉が私の心の奥の方へと静かに深く浸透して行きました。
この放送の二年後にお亡くなりになりましたが
特別なことは何もせず 好きなことに向かう純粋な歓びと共に
一日一日を丁寧に生きたターシャの人生は
その生き方を以て
多くの人に大きなメッセージを残したのではないかと思います。

3回にわたる長い記事にお付き合い下さいまして、ありがとうございましたm(_ _)m

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コメント 10

ともちん

どんなときでも、どんなことでも、楽しむことが出来る人なんですね。
『喜びは創りだすもの』まさにその通り生きたターシャさんだったんですね。

・生きているだけでもありがたいと思うから
・想像力を枯らしてはだめ

わかっていても、そのように心から言える人って少ないと思います。
こんな素敵な人が居たなんて気付けなくて残念!と一瞬思いましたが、
Sizukuさんが紹介してくださって、本当に感謝です!
by ともちん (2012-06-30 01:02) 

おかぴょん

ソローの「森の生活」を実践した

女性なのですね。

92歳で亡くなった彼女、

90歳にしてなお「人生は短い」と

仰っているのには、びっくり!


by おかぴょん (2012-06-30 10:52) 

ゆうみ

いつも良いことありますように思って過ごせる人生
私も一歩でも見習いたいと思います。
by ゆうみ (2012-06-30 12:19) 

ken

透き通るような洗練された文章。素晴しいですね!
またもや、私の好きなルピナスが出てきました。何度も読み返しました。
「・・・好きなことに向かう純粋な歓びと共に一日一日を丁寧に生きた・・・」
ターシャさんのように生きていくと「喜びが創りだされていく」と思いました。
紹介していただいて有難うございました。
是非とも、そのようにありたいと思います。
自分のキャパシティを越えるときはティータイム(ケーキ付き?)を入れてですね・・・(^.^)

次の歌を思い出しました。
♪NO.1 にならなくてもいい。もともと特別な Only one
 花屋の店先に並んだ・・・・・
 そうさ 僕らは世界に一つだけの花、一人一人違う種を持つ
 その花を咲かせることだけに、一生懸命になればいい♪
いい歌ですね(^.^)


by ken (2012-06-30 18:06) 

(。・_・。)2k

俺にも春が来ると良いな~(^^;

by (。・_・。)2k (2012-07-01 00:53) 

Sizuku

ともちんさん、こんにちは♪
長い長い記事に最後までお付き合い下さり
こちらこそ、ありがとうございました(^^)
そして、ターシャのことを知って頂く機会になりましたことも嬉しく思いました。

本当に!ターシャは人生を愉しむ達人だったと思います。
常に自分の内側からやってくる気持に誠実で
心豊かに生きるための環境を、自分の意志と手足で切り拓いた人だったと感じています^^

by Sizuku (2012-07-01 15:18) 

Sizuku

おかぴょんさん、こんにちは^^
いつもありがとうございます♪

すみません。。。
勉強不足でソローの ”森の生活”が如何なるものか知らないのですが(^^;
おかぴょんさんがそう感じられたならきっとそうなのではないかと思います。

そうですよね?90歳にして「人生は短い」と感じていらっしゃったところ
驚きですよね?!
そして、素敵なことだなぁと思いました(^^)

by Sizuku (2012-07-01 15:22) 

Sizuku

ゆうみさん、こんにちは^^

ゆうみさんはもう、ご自分の哲学をお持ちで
それに従ってまっすぐに生きていらっしゃるように私には見えます(*^^*)


by Sizuku (2012-07-01 15:25) 

Sizuku

Kenさん、こんにちは^^
このながーい記事を何度も読み返して下さったとは・・・
とても嬉しいです。ありがとうございます(^^)♪

そうなんです、ルピナスのお話が出て来た時は私も本当にビックリしました!
一度見ているにも関わらず、すっかり忘れていたので…

>自分のキャパシティを越えるときはティータイム(ケーキ付き?)を入れてですね・・・(^.^)

はい!あのドナルド人形みたいに息抜きは大切ですものね^^
ティータイム、ケーキ付(←ここはとっても重要!笑)は絶対に忘れてはいけませんね♪

”世界にひとつだけの花”いい歌詞ですよね。
みんなが自分の花を思いっきり咲かせたら、世の中変わるなぁと思います^^
引用して下さってありがとうございました^^

by Sizuku (2012-07-01 15:35) 

Sizuku

2kさん、こんにちは^^

ええ、もちろん!
絶対に来ますとも~♪
・・・って、私が言うことではありませんね(^^;

でも、今だって春なのではありませんか?
沢山の人に愛されている2kさんではありませんか(^^)

ご自身が望んでいらっしゃる形の春が
一番良い時にやってくる♪と信じて、願っています☆

by Sizuku (2012-07-01 15:43) 

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